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@@@《滅びの王国と記憶の継承者》  作者: 米糠


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57/57

@57  新たな時代の始まり

 


 @新たな時代の始まり


 崩れゆく帝国王城を駆け抜け、セリスたちはようやく外へと脱出した。


 夜空の下、王城の塔が崩れ落ちるのを見上げながら、彼らは荒い息をついた。


「……間一髪だったな」


 カイが肩をすくめる。

 ライルは剣を杖代わりにしながら、王宮の瓦礫を見つめた。

 ミアは魔力を探るように目を閉じた後、安堵の表情を浮かべる。


「もう……ガルヴァンの魔力の気配は感じない」


「なら、終わったってことか……」


 カイがそう呟くと、セリスは静かに王宮を見つめた。


 帝国の宰相ガルヴァン・ローゼンは滅びた。

 エルセリア王国を滅ぼした元凶は消えた。


 ——だが、それは終わりではない。


 セリスは、王の剣を見つめる。


 エルセリアの王たちが継いできた記憶。

 この剣は、彼らの意志を託されたもの。


 だが、それをそのまま継ぐことが、本当に自分の使命なのだろうか?


「セリス?」


 ライルが声をかける。

 セリスは顔を上げ、静かに微笑んだ。


「……私は、この剣に導かれてここまで来た」


 そう言って、王の剣を鞘に収める。


「でも、これからは——私自身の意志で進む」


 ライルは目を見開いた後、静かに頷いた。

 カイは微笑み、ミアもレオンも満足そうな表情を浮かべる。


「じゃあ、まずはどうする?」


 カイの問いに、セリスは空を見上げる。

 夜明けが近づいていた。


「……新しい時代をつくる」


 エルセリアを復興するのか、それとも新しい国を築くのか。

 それはまだ分からない。


 ——だが、自分の意志で未来を選ぶことだけは、決めていた。


 王国の記憶を継ぐ者としてではなく、セリス・エルセリアとして。


 光が射す空の向こうへ、彼女は新たな一歩を踏み出した——。


 《滅びの王国と記憶の継承者》——完





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