@22 地下道の追跡
*** 地下道の追跡
石造りの通路を駆け抜ける。封印が解けたことで、王家にしか知られていない秘密の道が開かれたが、それでも帝国の追手が完全に振り切れたわけではない。
背後から響く重い足音と、甲冑がぶつかり合う音が不吉な気配を帯びていた。
「くそっ、思ったよりも早いな!」
カイが後ろを振り返りながら息を切らす。
「仕方ない、奴らもこの道を知っていたってことか……」
ライルが剣を抜き、警戒を強めた。
「でも、この先はさらに複雑になっているはずよ。追跡を巻くこともできるわ」
ミアが周囲を見回しながら言う。
セリスも走りながら思いを巡らせる。かつて父王が語った言葉を思い出す。
——王族の避難路は、ただ逃げるためのものではない。選ばれた者が次の使命を果たすための道でもある。
「……きっとこの道のどこかに、次の手がかりがあるはず」
セリスは自分自身に言い聞かせた。
突然、激しい振動が足元を襲った。
「なっ……!」
石壁が軋み、砂が舞い上がる。
「何か仕掛けが動き出した……!」
ミアが息をのむ。
「追手が仕掛けたのか、それとも……」
ライルが剣を構えながら壁を見上げる。
その瞬間、後ろから響いたのは鋭い掛け声——
「逃がすな! 一気に仕留めろ!」
帝国兵たちがすぐそこまで迫っていた。
「セリス、こっちだ!」
カイが少し先の壁を叩くと、微かに反響する音がした。
「隠し通路か?」
「多分な。こいつを開けられりゃ、一気に抜け出せるはずだが……」
セリスがすぐに扉の中央に手をかざす。淡く光が走り、古びた壁が静かに開き始めた。
「今だ! 入るぞ!」
一行は急いで通路の中へと飛び込む。
直後——
轟音とともに、背後の通路が崩れ落ちた。
静寂の先に
砂埃が舞い、視界がぼやける。
「……助かったのか?」
カイが咳き込みながら辺りを見回す。
「どうやら……追手は巻けたみたいね」
ミアも慎重に周囲を確認する。
セリスは崩れた壁を振り返った。帝国の兵士たちは、あの向こうに取り残されたのだろう。
しかし、安堵する暇はない。
「行きましょう。この先に、私たちが探すべきものがあるはずだから」
彼女の言葉に、ライルが頷いた。
「……ああ、進もう」
静寂の中、一行は再び歩き出した。




