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悪役令嬢がやってくる

【会話無し】なんでも欲しがる妹と欲しがったものを全てあげる姉

作者: まい

乙女ゲーム世界 ベッタベタな欲しがり妹 悪役令嬢の破滅回避


 この辺をお題にしたネタになります。


 ちなみに会話がなく、魔法要素も微量で、ほぼあらすじ進行です。


 そう言ったものが苦手な方は回避をお願いします。

 剣と魔法と魔物のファンタジー世界の、とある貴族家。


 姉の持っているもの全てを欲しがる妹と、最初の少しだけ断ったが両親すら妹の味方をし続けた事で、家族を見限った姉。


 姉の部屋にあって目に付くものを欲しがり、姉のアクセサリーを欲しがり、姉の婚約者からのプレゼントを欲しがり、姉の婚約者そのものを欲しがり、姉の地位を欲しがるまでに至った妹。


 最初は姉への憧れだったが、そのうち嫉妬(しっと)に変わり、最後には強欲(ごうよく)傲慢(ごうまん)に支配された妹。


 そんな妹の変わり様に気付かず、妹しか見ない両親と、姉の惨状に気付いているが何もしない・出来ない使用人と、積極的に両親や妹に同調する使用人。


 姉の扱いは日々悪くなり、姉を心配する使用人から使用人の食事をこっそり分けられて生きながらえる姉。



 姉はたくましかった。


 着るものを妹に全て(うば)われ、もはやボロ布を体に巻く位しか出来なくとも、1度きりだが貴族のパーティーに誘われたら出席した。ボロ布の姿で、隠していた主人公家の者だと証明できる物と本物の招待状を持ち、徒歩で。


 家族にその姿を(とが)められてパーティーに病欠扱いにするから出席するなと止められていた。


 が、こっそり助けてくれる使用人から招待してくれた貴族の屋敷の場所を聞き出し、屋敷を抜け出して無理矢理出席した。


 したが、出席寸前でパーティーの主催者に捕まり、物凄く心配され、姉が全てを話して泣かれ、ドレスもアクセサリーも貸してもらってからの出席だ。


 パーティー後に、姉に同情した主催者の家が姉を保護したいと申し出たが、姉本人が断る。 それをしたら、妹の毒牙がそちらの家に向かうと、迷惑はかけられないと。


 結果、主人公の家に悪評が立ちまくった。 お前の所は家族すら大切に出来ないのかと。 それを隠すために病気で欠席と伝えたのかと。


 両親がそれを払拭(ふっしょく)すべく、帰ってから姉に色々買い与えたが、それらが全て妹の物になる事に気付かない。


 ついでに、そんな状況になってる事にすら気付かない婚約者側の家へも飛び火した。



 これにより2家は、国の貴族達から爪弾(つまはじ)きにされた。


 そしてその原因となった姉を家族は逆恨みし、姉の婚約者を妹の婚約者へ変え、姉は放逐(ほうちく)された。






 放逐された当の姉は、(わら)った。


 姉は実は転生者で、姉は悪役令嬢になる将来があった。


 傲慢に育ってやりたい放題の悪役令嬢の姉に、妹が家を追い出され、両親によって保護目的で分家へ送られて厳しく育てられ、貴族学校で恋愛対象と出会い……の定番系乙女ゲーム。


 原作では妹がどんな理由で追い出されたのか知らなかったが、この様子だとおそらく姉に過剰なおねだりをした結果に猛反撃されて怪我でも負わされたのだろう。


 なにせ、悪役令嬢回避のために融和(ゆうわ)するつもりで、おねだりされた物であげられる物はあげていたのだ。


 そうしたら増長(ぞうちょう)して全てを欲しがるようになったのだ。


 断れば両親に(うそ)も含めて言い(くる)めてまで姉を悪者にして、姉から物を取り上げだした。


 原作ではこの欲しがりに我慢の限界が来て、姉が荒れ狂ったのだろう。


 それで両親が姉の激情部分を恐れて、妹の悪癖(あくへき)を直してもらうのも兼ねて分家へ養子として隔離と保護をし、姉のご機嫌取りをし続けた結果やりたい放題に育ったのではなかろうか。


 そして姉妹が学校で再会し、妹が養子になった先で(しつけ)られて我慢していた甘ったれで欲しがりの部分が義両親から離れた事で爆発し、恋愛対象である姉の婚約者を欲しがったのだろう。


 なにせ全ての恋愛対象に婚約者が居る。 逆ハールートも存在する。


 つまりこの乙女ゲームは略奪系ヒロインが主人公である。


 被害者の中には定番の、王子や王弟公爵の子息もいて、それらのルート……特に公爵子息はクーデターで国王になる話であって、国が大混乱に(おちい)る危険まであった。


 そんな未来を、こうして挫いたのだ。


 将来起きる余計な混乱を、そして姉本人の破滅を、こうして回避できたのだ。



 …………今思えば、これは全ての元凶は両親なのかもしれない。 どっちにしろ両親が子供に言われるまま、好き放題するのを認めている事が原因にしか思えない。


 なお、破滅を回避できた姉本人は。




 あのパーティーの主催者の家に居る。


 この計画をパーティー後にこっそり告げていて、結果として家を放逐されたら助けを求めに伺いますと、話が通っていた。


 姉は転生者らしく魔法に興味を持ち、研究をする魔法チート転生者ルートに乗っていて、何もない空間に物を収納できる魔法を開発し、そこからパーティー参加前に盗み出した家の裏帳簿を取り出しながら。


 姉妹のどちらにしろ、わがまま放題できるほどの財力を持っていた理由を探していたら、これを見つけてしまった。


 なので、どうせボロ布姿では不審者とされるだろうし、いっそこのパーティー主催者の家と内通してやろうと持ち出したのだ。


 主催者の家は悪い顔をして、2家の悪い噂は任せておけと、共犯者になった。 国の混乱の話はさておき、2家の評判や信用を落として(とく)になる事があるらしいので。


 ついでに姉をこっそり助けてくれていた使用人達を、姉の放逐と合わせて引き抜いた。


 これは悪い噂をばら撒く手助けを、その使用人達がしてくれた報酬だそうだ。


 そして主催者の家の養子になり、未来を変えた。




 妹の方は家の悪評で苦境に立たされ、ストレスにより欲しがり癖が悪化し、両親は妹の抑え方が分からないまま好きにさせ続けて家の金を食い潰して没落した。


 婚約者側は妹との婚約も切り捨て、家を守ろうとしたのだが、それが悪かった。


 姉妹……婚約者2人を不幸にした呪い持ちと噂され、姉を切り捨てて妹も切り捨てた非情の家と噂され、関わったら不幸になる家と言われるようになった。



 こうして、ついでのように略奪系ヒロインが発生源の国家騒乱は未然に防がれ、悪役令嬢にされそうだった姉は実家含む貴族家2つを犠牲にして生き残れたのだ。

 自分が生き残るためとはいえ、実家と婚約者家2つを潰す主人公って、やっぱり悪役令嬢なのでは?





蛇足


 本当はこの収納魔法の登場機会は、もう一つありました。


 欲しがり妹から守りたい私物を、収納魔法で隠し持つ描写を出すつもりだったんです。


 でも元婚約者が主人公と仲良くしてて本気で愛し合っていたわけでなし、家族との思い出の品で大切にしている物なんて、それこそ欲しがり妹が狙って取り上げる物だし。

 この流れだと大切にしたい私物なんて思いつかなかったので、全て落ち着いたあとに大切な物を取り出して()でるとか出来なくなりました。

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― 新着の感想 ―
あー。 これプロットっとして使えそう~ ストーリーも固まっていて、流れも出来ているからあとは肉付けすると物語が中編くらいで出来そう(笑)。 うーん…… 今私生活が忙しいのでちょっと手が出せないなぁ~…
犠牲にしたんじゃなくて、やった事が明るみに出たら爪弾きにされるクソな家が因果応報で潰れただけなんじゃないでしょうか。 「子をスポイルして国家を傾ける女に育てる事が異常に上手い家(しかも叩けば埃が出る)…
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