大丈夫だ、俺には最後の手段がある
「お兄起きて!」
妹に体を揺さぶられて目が覚めた。すっげえ怖い夢見てた気がするけど……まぁ、いいや。
帰りのホームルームが終わるまで机に突っ伏して寝てたけど、教室には俺達以外誰もいなかった。
私立桜礼学園高等学校。中高大一貫校だ。名前的に偏差値75ぐらいの名門校のような名前だが、偏差値51という平凡な学校。
その桜礼学園に俺達兄妹は高校からの編入で入学した。
俺、竹内 翔流。成績優秀の超エリート……と言いたいが、偏差値52、中学の体育の成績3、容姿はどこにでもいる高校生……うん、平凡!
「帰るよー」
そういってきたのは、竹内 美春。俺の妹だ。
こちらは俺と違って、偏差値73、テストはいつも学年1位。中学の頃入っていたバスケ部では1年生からレギュラーに加わり、3年生になってからはキャプテンになり大阪府3位という好成績を収める運動神経の良さ。文武両道とはまさに美春のためにあるだろう。
そしておまけに容姿は超美少女。
俺とほぼ同じ背丈の高さ。長い黒髪をポニーテールにして後ろでまとめた髪型。雪のように白い肌。そしてスラッとした細い腕。そしてこの整った顔。まさにラノベから出て来たような美少女だった。……本当に俺の妹か?
(あと胸があったらもう完璧にラノベのヒロインなんだけどな~~、俺ちっさい方が好きだけど)
「今めっちゃ最低なこと考えた?」
「いいや? 何のこと?」
ジト目を向けてくる美春に嘘を付いて何とかごまかす。女の勘って怖いね。
桜礼学園の入学式から一週間が経過した。
入学式から三日以内に友達を作れというが、一週間も過ぎてしまった。
美春はこの一週間の内に進学校というもうグループが作られてる中、友達をいっぱい作り、いつの間にか小学校の頃の友達と一緒にクラスの中心人物になっていた。うん、おかしい。
俺? 俺は……うん、お察しの通りまだ友達1人も作れてない。まあ、進学校だし、俺編入だし、うん……妹はそれでもうスクールカーストトップなんだよなーー、……悲しくなってきた。
「早く行くよ」
「へーい」
美春に引っ張られてまぶたをこすりながら教室を出て行く。
廊下に出ると何人かがそこにいた。おそらくこれから部活、もしくは今から入部届けを出しに行くのだろう。
「そういえばお兄、友達できたの?」
「まさかそれを妹に聞かれるとは」
「……その反応はできなかったんだね」
「そんな悲しそうな目で見ないで、兄としてのプライドがズタボロだよ」
「もともとないでしょプライドなんて」
「ひどくない!?」
さすがにひどくない!? 兄だよ!? 一応!? いや自分で一応って言ってる時点でプライドなんてないな。
「でも大丈夫だ、俺には最後の手段がある」
「……それって何?」
「それは……」
それは、