※ これから
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「これからあなたに付くことになりました」
そいつが澄ました顔で言った。これで何人目だかわからない。
「そうか、わかった」
ちらっと見ただけで目をそらした。
あまりじっと見ると誤解を招くのを知っている。それに、こちらが興味がなくともいつも興味をもたれ、一挙手一投足見守られるのはいい気分じゃあない。
ところがそいつはいきなり、ふいっとそこから消えた。
見回したのにどこにもいない。
「おい、今ここにいたやつは?」
近くで見ていた奴に聞いたら、上を指差した。
「飛んでゆきましたよ。あいつは空が好きなので」
こちらもあわてて飛ぶ。
「いた」
海の上をゆうゆうと。
「おい、いったいどういうつもりだ?」
近づいていったらすうっと逃げられた。
「おい!」
上昇していた奴が急にその場を回りだし追い付く。
「お前はわたしに付いているのだろう?勝手に飛んで消えるとは」
その腕がのび、陸を指差す。
「王子、ご覧ください。あの陸を。あの場所に、ヒトとテングが暮らしております。中ほどにはカエルが置かれ線が引かれ分かれている」
「そ、それはヒトが」
「空には線がありません。そして海にも」
「だから、それは」
「この先も『線』は消えることはないのですか?」
悲しそうな目が問いかける。
「そ」
返事を聞く気はなかったようで、そのままそいつは飛び去った。
わたしは初めて一人空に残された。
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