動けない
「エン!」
階段を飛び降りたつもりが引き戻される。
「はなせ!!」
怒りで頭が破裂しそうだった。
なのに、いくらもがいても足は空をけるばかりで、あそこには行けない。
『力』があれば!
「 ちっくしょお!なんで撃ったんだよ!見ただろう?落っこちたおれを助けてくれたんだ!あんたが嫌いな翼のあるあいつが!これで二度目だよ!あいつに助けてもらうのは!なのに!なんで撃った!?なんで!」
弓を下ろしたジリは仕留めたものが落ちた方を睨んだまま反応しない。
「早く放してくれよ!エンが!」
なんでこんなことに!
「いい加減にせんか!」
おれを黙らせたのはジリじゃない怒鳴り声。
闇の中にいきなり長老が現れた。
音もなく階段を上りきり、持ち上げられた俺を認めて笑う。
「いいざまだな。フッタ。おまえも、もう、いい加減目を覚まさんか」
「覚めてるよ!」
そうだよ。これが夢ならどんなにいいか。
「覚めておらん!いいかよく聞け。覚める話をしてやる。ジリが何故テングが嫌いかわかるか?」
長老が首を突き出す。すうっと『力』がゆるんで、足が下に着く。
なのに、おれは動けない。




