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贈り物の花を
「おめでとう」
エンがそれを、おれのぼさぼさの髪に挿す。
「なんだよ、これ」
触れた柔らかい花びらがこぼれるように散った。
「 それはな、今朝咲いたばかりの《よろこびの花》だ。 わたしたちからの贈り物だ」
むこうに座るサザナが、いつものおちついた声で答えた。
「この花、よくサザナの髪にささってるけど、この辺のじゃないよな?見たことねえし」
「《よろこびの花》は、わたしたちの住処に咲く花だ。おまえの祝いに、ちょうど似合う花だ」
さっき投げた実をかじりながら笑うサザナは、エンとは対照的に肌も浅黒く、黒い服と黒い髪で翼まで黒い。 からだは太く大きくて、ヒトの大人より大きい。
「ふうん。まあ、ありがと」
「似合ってるぞ、フッタ。―― では、わたしは少し空を《聞いて》くる」
エンは立ち上がると弾みをつけるように、とん、と枝を蹴って下に落ちた。




