上昇
だがそれでもまだからだは確実に落ちていく。
真っ暗な下に広がっているのはせめて草地であってほしい。でも、見えてしまったあれは・・。
目をつぶり無駄だとわかっても体に力を入れた。
ばたつかせる手足はどこにもぶつからない。あの岩にはぶつかりたくない。
だめだ。おれには『力』がない。
はずなのに。
え?
いきなりからだはそこで止まった。
目をあけようとしたら聞きなれた羽ばたき。
「フッタ平気か!」
そこからひったくられたおれはエンに抱えられ上昇していた。
「た、・・すかった」
目の前には滲んだ月。
やっと息をしてもいいような気がしてゆっくり吐き出したら、がたがた体が震えだす。
「平気ではなさそうだな」
平気だよ、とは言えなかった。唇はひどく震えていて、痛いをとおりこした肩からは何かが突き出ている。
「すぐにカエルのところにゆこう」
「あ、」
おれは家の方を見たかった。ジリが・・・。
「ごめん。その・・」
どうにか唇を湿らせて唾を飲み込む。深呼吸して見なおした肩から出ているのは木片だった。




