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落下
「 放せよ」
「《テング》とはゆくな」
「ここまできてまたそれかよ!なんでそんなにあいつらが嫌いなんだよ?おれは、あいつら好きなんだよ!」
足をつかむ『力』がゆるんだ。
すかさず窓を開けて枠に飛び乗って振り向く。
「もう、あんたには関係ねえだろ?おれがどこで誰とどうしようともさ」
『ばっさり、捨ててな』
「あいつらとはゆくな!」
「 っつ!?」
いつものように跳んだのに、ジリにどこかをつかまれた。
崩れた体勢で肩から突っ込んだ見晴台の板がひどい音で割れ、ひどい痛みといっしょに体は床板を突きぬけてその ―― 下へ。
「フウッタア!!」
やばい。
風がこすれる音に叫び声が重なる。
体はどこにも当たらず、サザナと下りるよりも早く強く、下に吸い込まれるみたいだ。
「フウッタアア!」
突然、 ―― がくん、と落下が止まった。まるで叫び声に救いあげられたような感覚。
名を呼ぶこえがきこえる。ジリか?
まるで叫んで戻そうかとするように。




