渡したか?
ランプはワッカの家に置いてきてしまった。
着くまではどうにか月明かりがあったけど、家の中はどうにもならない。
カエルのを借りてくればよかった。貸してくれたらの話だけど。
外の階段はひどい音がするから、やはり下の入り口から入って台所を抜け、梯子を上るしかない。そうっと開いたつもりのドアはすごい軋みをあげた。
少し待ってみるが反応無し。よし。
そのままするりと入り、壁を伝って台所に行き、足で探りながら前へ進んだ。梯子をつかみ、体に力をいれて足をかける。ギイっといったがこれぐらいなら平気だろう。
後はあの袋を持ってまた静かに出れば ――
「渡したか?」
「 っひ、 」
おかしな悲鳴がでて、危うくはしごから手を放すところだった。
「じ、ジリ?」
首をまわして見上げたら、そこにいた。
窓からの明かりで壁際に胡坐をかく姿が青白く浮かぶ。まるで壁から出てきたようだ。
「ちゃんと、渡したのか?」
それはしゃべっているはずなのに生きている感じがしない。
「あ、あれは」そうだ。ジリも、『あれ』を知っていた。
半分しか開いていないようなその目がこっちを見た。
「ちゃんと、サーナに」
暗いのに目が合ったのがわかる。
「 ―― 今、なんて?」
ジリは答えずにただおれを見ている。




