※※※ 巣
「 でも、ジリはすごく嫌いだから、《テング》のことは話しちゃいけないってサーナに言われたよ」
今度はエンも相槌をうたない。
「 ―― フッタ、あれがわたしたちの住んでいる山、巣だ。見えるか?」
上からのサザナの声で向こうにあるそれが目に入った。
「わあ、すっげえ」
こんなに近くから見るのは初めてだった。
連なった岩山の一番高いところ。切り立った岩肌から明らかに不自然なものが突き出し光を反射している。ごつごつとしたその山の所々には穴があり、翼のあるヒトが出入りしている。
段々とそこに近づいてゆく。
エンとサザナはあそこに帰るつもりなんだろう。
でもおれがあそこに行ったら、きっとジリは怒る。サーナの顔が思い浮かぶ。
「い、嫌だよ。巣には行かないよ」
ばたばたと暴れてエンがやめろと言い終えないうちにその腕がはずれてしまった。
すぐにサザナに受け止められる。
エンはひきつった顔をしているのに、落ちたフッタはサザナに笑いかけた。
受け止められるのが当たり前だったみたいに。
「 わかった。もう少しわたしたちが仲良くなれるまで待つとしよう」
フッタは笑顔と共にサザナの手をにぎった。
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