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※※※ 負け
「・・・ワッカはもう『力』があるんだ」
つぶやくようなその声もエンたちは聞き逃さない。
「ワッカって?」
「おれの兄弟。初めから負けてるからさ。ワッカは初めからサーナの子供なんだ。ね?もうここで負けてるだろ?」
エンが口を大きく開けて笑った。その振動をフッタは背中で感じる。
「おもしろいな、ヒトの子は。 それで、負けるとよくないのか?」
そんなことを考えたこともなかったフッタは考える。
「わかんない。でも負けるのいやだから『力』が欲しいって言ったらワッカが教えてくれたんだ。長老が前に話してたって」
「長老とはヒトの長か?」
「一番長く生きてるんだから偉いんだ。ヒトがこの陸でどうやって暮らしてきたかとか、テングがいつやってきたかとか、」
「どこにだ?」
「この陸にだよ。エンたちはテングなのに知らないの?」
二人をまとめて見ようと首を斜め上に傾ける。




