もう 嫌だ
ちくしょう!足が床を蹴る。
「それも大人の話し合いで決定済みかよ?」
「ヒトの長が決めたことだ」
「なんでそんな大事なことあんたらだけで決めちゃうんだよ?ワッカだって知らなかったんだぜ?自分の親父のことなのに! あいつはさあ、おれが持ってった石のせいで自分の親父がいなくなった本当の理由と、泣き崩れるかあちゃんをいっぺんに今抱えてんだ!あそこで!おれ、おれはなにも・・・・」
「ワッカに追い出されたか?」
カエルの声はドアに当たった感触を背中に思いださせる。
そんなに痛くはなかったのに、そこがうずく。
おれはなにも、『できなかった』?『悪くない』?
なぜか謝ったのはワッカだった。
あそこへ、また行くことは出来そうもない。立っていられなくて椅子に腰を落とした。
きれいにたたまれた毛織物を膝にのせ顔をこすりつける。
「・・・あんたに昔もらった、革袋に、いれてあったんだ。エンの羽を持って帰ったやつに。サーナは忘れてたけど、ワッカは覚えてたよ。あれに入れた羽はワッカにやったんだ。ワッカはそのときエンたちに今度会いたいって。そう言ったのにおれはそんなこと忘れてて、ここに来るのだって、お前とくるのは嫌だってひどいこと言ったんだ。・・・でもおれはワッカのこと嫌いなんじゃなくて、でも、あいつはおれに嫌われてるの知ってるからって ・・・サーナに寄り添っていられるのはおれじゃあなくて、ワッカなんだよ。出て行く前にせめて挨拶ぐらいしようかと思ってたけど、全然、誰にもきちんと挨拶なんて、出来なくて、もう、・・・ここにいるのは、嫌だよ・・・」




