通じた『石』
「・・石を、ジリが石を見つけたんだ」
「石?」
これ以上説明したくなくなり長椅子をめざした。もう、いいよ。
もう、話したくなかったのに
「石を、――― つけた男がいた」
なのに、カエルが覚えていた。
「 ―― 緑色の美しい石だろう?捕った魚の腹から出たか?よく残って・・・いや、残したのだな。最後の力で。腹の中の壁にでも」
エンが苦しげな顔をした。
まだ何も説明していないのに、『話し』が通じてしまった。
座った椅子は誰かがいたみたいに暖かくて、話したくなかった口がまた動き出す。
「・・・長老に石を渡すように、ジリに言われた。でもおれは今日ワッカに誘われてて、飯を食ったら、・・・あいつとケンカになっちゃって・・・帰るつもりで立ち上がったら、それが、サーナの目の前に落ちた」
カエルが深く長い息を出した。
「お、おれだって、知ってたらぜったいに持って行かなかった!なんで、教えてくれなかったんだよ?あんたも、ジリも!ワッカの親父は陸を出て行ったって、船で消えたって!なんであの時言わなかったんだよ?」
動かないカエルの口だけが動いた。
「おれの口から伝えることではない」




