やつあたり
ドアが壊れろと思うほどの力で叩いた。
開いたところへ言葉と一緒になだれこむ。
「お前知ってたんだろ!?ここに来たっていうヒトの中にはワッカ の ―― 」
そいつの顔を見て一瞬言葉がなくなった。
ドアをひらいたのはエンだった。
「どうした?」
少し首を上げるように聞くその澄ました態度が、今は腹立たしかった。
「なんだよ、夜は飛ばないんじゃなかったのかよ?夜風は体に悪いんだろう?」
押しのけるように体を滑り込ませると、ろうそくの明かりに浮き上がったカエルが書き物をやめてそれを何気なく閉じた。
すごくそれが気に入らない。
「ああ、夜はきらいだが急を要することもある」
「カエルに急な相談?テングが夜中に熱でも出したのか?あんたら丈夫にできてんだろ?」
「フッタ、いいかげんでやめろ」
カエルはペンを拭ってしまう。
「何を言いに来たのかわからないが、おれに言いに来たんだろう?エンにあたるな」
「あたってなんかねえよ!なんでこんな時間にエンがここにいるのか聞きたいだけだよ!ああ、わかった、何か、『大事なお話』ってやつだろ?」
笑ったつもりの顔はたぶん引きつっている。
「ああ、そうだ。『大事な話』だ。だがな、フッタ、お前に教えるつもりはない」
「ああ、そうだろうな。大人の話ってやつだろ?子供には関係ない?こどもにはわからねえってやつか。そうだな。聞いてもわからねえよ」
「フッタ、何をそんなに怒っているのだ?わたしが夜ここにいてはおかしいか?」
横に立つエンがなだめるように背をなでた。
「べつに・・」
もう、いいよ。




