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これはあのヒトのもの
「石?」
ワッカが自分の手に押し付けられているものを確認し、おれを見た。
「 ・・・フッタ、この革袋・・・」
ワッカはそれを覚えている。
おれは首を振った。
「ち、違うよ。《テング》は関係ないよ。その石は今日ワッカたちが捕った魚の腹から出てきたって。ジリが」
突然泣き声がまた激しくなる。
そしていきなり
「これはあの、あのヒトのだよ!」
サーナが叫んだ。
「あのヒト?」
「そうだよ!お前のとうちゃんだよ!あたしのダンナだよ!」
驚いたおれたちは顔を見合わせる。
「だってとうちゃんは病気で死んだって・・」
ワッカは母親をのぞきこんだ。




