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『 言ったのか 』
突然の叫びがおれを現実に戻した。
一瞬のめまいでテーブルを掴むと、まだ尾をひく悲鳴をあげるものが目に入る。
床に突っ伏してまるまったサーナのからだだった。苦しそうな声をあげ、ふるえ、ひどく揺れている。
「かあちゃん!」
おれが動くより先に梯子から飛び降りたワッカがその背にかけよった。
「言ったのか?」
振り向いたワッカは見たこともない顔で聞いたことのない声を出した。
「おれ、・・・何も」
していないのに悪いことをしてしまったように、どくどくと体の奥の方が痛くて。
あああああ
サーナが声と一緒に揺れている。
「かあちゃん、しっかり」
揺れながらも、かがみこんだワッカの手をぐっとつかむ。
声は細く長く途切れずに吐き出され、ようやく一度切ると、「 石があ 」と言った。




