これからも仲良く
おれはそんなワッカを見送ることもできずにお茶の道具を睨んでいた。今のは自分に向けられた言葉だと思いたくもなかった。
暖かいサーナの手が頬をなでた。
「何のケンカ?」
その聞きなれたやさしい声におれの中の『何かが』出かかって、すぐに唾と一緒に飲み込んでごまかす。
「・・怒らせちゃったみたいだよ。あんなに・・・」
初めてだ。
「平気よ。兄弟喧嘩でしょう?何日か経てば忘れちゃうわ」
その手の甲がまだ頬をなでる。
その感触に負けそうになり、そっとどけた。
「いやあね。フッタがワッカに泣かされちゃうなんて。初めてじゃないの?」
「泣いて、ねえよ」どうにか。
「ああ、でも、一度だけ・・あんたが一人でカニの沼に行っちゃってカエルに送られてきたとき、フッタ、ワッカにすごく怒られたわね。あんたそれで泣いてワッカに抱きついてさあ」
「そんなこと、あったっけ?」
サーナは懐かしむように笑い、おれの頬を軽くたたいた。
「こんなに大きくなっちゃって。二人ともあたしの自慢の子供だよ。・・・これからも、仲良くしていくんだよ」
ああ、やっぱり、おれにはとても言えないよ。
『出ていく』って。




