初めて怒る
「そ、れは」
すぐ目の前のそれが、見る間に赤くなってゆく。青い目は非難の色を湛えて。
「 フッタは僕たちよりテングたちのほうが好きなんだろ? 」
初めて見たその目の怒りに言葉が出ない。
おれの返事を待っていたらしいワッカの顔は、さらに赤くなった。
「ジリと本当に話し合ったの? かあちゃんにだってちゃんとした話をしないくせに、あいつらの《巣》に行って何するっていうのさ?一緒には行かないっていうのにあいつらとは旅の計画でも練るのか?なんだよ!僕はいいよ!昔フッタについてくんなって言われた時から嫌われてんの知ってるからさ!でも、違うだろ? ジリとかあちゃんはさ、違うだろ?」
あまりに大きくなった声にサーナが様子を見に戻ってきた。それに気が付いたのかどうかワッカは続けた。
「だいいち、行くのは大人になったらって言ってたよね?けどフッタはもう大人なのか?こんな、当たり前のこともできなくて? 自分はもう、いいってこと?自分はもう心の準備が出来てるから? じゃあさあ、残された方は?いきなり、置いてかれちゃう方は?そのヒトたちの気持ちはフッタにとってはどうでもいいってことなのか? ねえ、どうなんだよ?黙ってないで!答えてよ!」
言い終えた顔は真っ赤で息をきらしてその目からは涙が溢れ出す。
それでも答えないおれからぷいと立ち上がると、部屋のすみのはしごを軋ませ、上に行ってしまった。




