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ひそめた声は怒ってる
「か、かあちゃん、苦しいよ。ほら、鼻水が出てひどい顔になってる」
ワッカが苦しげな声で言うとぱっとその腕が放されて「ほんと、いやだ」サーナはまた奥へと消えた。
たぶん泣きにいくんだ。
「フッタ!あれじゃあ話したことになんかならないだろう?」
向こうを気にしたワッカの声は、小さいが怒っている。
ひそめた声でおれも言い返す。
「じゃあ何て言えばいいんだよ?正直にこの陸を出て行くから『さようなら』か?おれだって本当はそう言いたいところなんだ。でもそんなこと言ったらここから出してもらえなくなるだろ?サーナはジリと一緒で、おれがテングとゆくもんだと思ってる」
「誰だって思うよ!あれだけ仲良くしてればさ。ぼくだってまだ半信半疑だね。だって《巣》にまで呼ばれてるんだろ?」
「だからぁ、別れの前に一度来いって言われただけだよ。別に行くとは答えてないし」
「行くんだろ?」
ワッカからとは思えない冷たく怒った声。
驚いてその顔を確認してしまう。




