すううう
「 でもフッタ、本当に 一人 で行くの?」
少し言いにくそうに、でもはっきりと聞いた。
「行く」
ワッカがさらに言いにくそうに口を下げた。
おれがヒトの中で《テング》の捨て子だと陰で言われているのをワッカも知っている。
「《テング》とは行かねえよ。おれは一人で行くんだって前から言ってるだろ?」
「そうだよね。でも一応にもお別れしてから行くんだろ?」
「ああ。あいつらの《巣》に呼ばれたんだ。今度」
「すううう!?」
その素っ頓狂な声をあわててふさいだところに「何?その声は?」お茶を持ったサーナが来た。
お茶道具をがちゃりと置いて俺たちを見比べる。
「なんでもないよ。男同士の話」
口を塞がれたワッカは何か言いたそうな顔をのけぞらせておれを見る。
「サーナ、さっきの話しだけどおれ、みんなにそんな心配かけてるなんて知らなかったからさ。ごめん。もうテングとは会わないよ」
ワッカは明らかに目で何かを言っているがサーナはそんなものは目に入らなかったようで「おお」と息をもらすと俺たちふたりをまとめて抱き締めた。
「 ―― もう、心配かけないよ。ごめん」
―― だって、もういなくなるから。
「フッタ!」小さい鋭い声でワッカが咎める。「それ、ちがうじゃないか」
「わかってくれればいいの。わかってくれれば。ジリは正しかったんだねえ」
サーナは自分の嗚咽で聞こえなかったらしく、さらにおれたちを締め上げた。




