心の準備
「ワッカ・・?」の声だよな・・・。
「わかったよフッタ。気をつけてね」
ワッカは悲しそうな顔で微笑んでおれの手を握った。
思いもしなかったあまりに静かなこの反応に、おれの方が呆然としている。
「きっと、もうすぐだとは思ってたんだ。だから僕は心の準備はできてたよ」
ようやくおれの頭も動き出す。
「 あ、ああ。・・・そっか。そう、だよな。おれいつも言ってたもんな」
「そうだよ。僕はいつフッタがジリのことをぶっ飛ばすのか心配してたんだけど、今までだって一度もなかったもんね。だからさ、さいごまで絶対ぶっ飛ばしちゃぁだめだよ」
その表情がさっきのサーナとあまりにも似ていておれは思わずうなずいた。
「それで、いつ?」
ワッカが急に声を落とす。
「あ、ああ。え、と、サーナに後で・・・さっきの話の続きになるだろうけど、ちゃんと、話して行くよ。 ジリとは、 ・・・ここに来る前に一応 話し、 合った」
『話し合った』?
突然の質問と、怒鳴り声と涙。
「ほんと?きちんと話し合えたんだ?」
つかんだままの手がぎゅっと持ち上げられる。
「・・・まあ、一応な」
とにかく、もうおれが出て行くことはジリにはわかっているんだろう。




