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『 うん わかった 』
「そんなにでかかったのか?」
「言っただろ?船で三つに分かれて『力』で追い込むのに半日かかったんだ。 引き上げて枝から吊るしたらジリの倍以上あってさ。ジリだって驚いたんだから」
「へえ 」
服の上から石の感触を確認した。
「 ―― ワッカ、あのさ」
話すなら今かもしれない。
振り返るとまだ奥からは歌声と器のふれあう音が響く。
おれは少し身を寄せた。
「なんだよ?」
ワッカは身を引く。
少し間を取り笑いかけると笑い返してきた。
この顔が、おれからのことばをきいたあとで泣きそうにくしゃくしゃになるのを想像し、また少し間があく。
でも ―― 。
「おれ、出るから」
「何?」
きょとんと聞き返したその何も考えていないような顔を見ていたら、急に腹が立った。
「もうすぐここを出るって言ってんだよ」
つい大声になり、あわてて振り返るがサーナには聞こえなかったようだ。
「うん、わかった」
頭の後ろから聞こえた、落ち着いた声。




