※※※ 思いこみ
フッタはそれを言われたときの、狩の道具を手入れをするジリの後ろ姿を思い出した。
いつかは自分も触れるんじゃないかと思っていた大きな弓。自分と変わらない大きさの矢。
ジリが黙ってやることをずっと見てきたから弦の縒り方から脂のつけ方、矢だってきれいに張り合わせて作れる自信があったのに・・。
ジリはこっちを見ることも無かった。きっと初めからまったく期待されていなかったんだ。
それがわかったから、涙が出てきた。
拾われて、ジリの子供じゃないって知ってたけど、それでも何かの役には立つんじゃないかと勝手に思い込んでいた。
だから、ジリのところにいてもいいのだと・・・。
「わ、まただ」
エンがまたおろおろしてフッタに寄ってその頭を抱いた。
「ヒトは、悲しいことがあると目から水をだす。苦しげな声もあげる。これを同時にする」
机からカエルが解説する。
「悲しいのか?」
やさしい声が、抱いたその頭に問いかける。
答えずに子供は口を引き結ぶ。
苦しげな声はせめてださないように。
「暖かい湯にしばらく浸けてやれば、涙は止まるだろう。出たらその布でお前のように巻いてやれ」
サザナが手にした布をエンに渡し、壁の棚に寄り掛かかると笑った。
「ヒトのようにしっかりと面倒を見るんだ」
「わたしが?」
驚いた声をあげるが、エンは子供を離そうとはしない。




