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いいことを思いつく
『必ず渡せ』か。
その石をまた光にかざす。
長老かあ。おもしろいじいさんなんだけど、会うたびにテングの悪口を聞かされて、もううんざりだ。ここを出る前に会っておきたいわけでもないし。
「・・・そっか」
うかんだその考えに、頬が緩んだ。
そうだよな。もうすぐここを出るんだから、何か記念になるものを持って行ってもいいよな?
それに、ジリがわざわざ長老に確認するとも思えない。
かざしていた石をぎゅっとつかみ、そっと服にしまう。
あの軟らかい革袋にいれて旅に持っていこう
いや、待てよ。
もっといい事を考え付いた。
『贈り物』にするのはどうかな?いままで世話になったお礼に。
――― 前のと違ってこれなら喜んでくれるだろう。『前の』を渡したときを思い出し、少しどこかが痛くなる。
きちんと閉まっていないドアがゆれ、ランプの火が揺れた。虫の鳴き声は止んでいる。
あの革袋を見たらあいても思い出すだろうか?




