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あんたとちがって
だけどいつもと違いジリは何も言い返さない。
酒を飲んだみたいに血走った目。
これ以上言い返したくなかった。
そのぼさぼさの髪と髭はもとより、いつの間にか眉にまで白いものが混じり、日に焼けた顔はシミで覆われ、眉間のほかのシワがまた増えている。
「 まさか、テングとゆくつもりか?」
まただ。『テングの所には行くな』。ジリはいつもこうだ。うるさい。
「べつに、いいだろ」
一緒に行く気はないがジリにはそう言いたくなかった。
あいつらと一緒だと勘違いしてくれれば、ひょっとしてこのまま「出て行け!」と追い出されるかもしれない。
「よかあない!」
うん、いい反応だ。つぎのおれのことばできっと、追い出されるはずだ。
「うるせえな。あいつらはいいやつだよ!あんたと違っておれの話も聞いてくれるしな!」
ところが、ジリの口は急にだらりと開いて、声もださない。
いままで見たこともない顔になると、また視線を逸らした。




