魚の腹から
空になっていた手のひらをジリがぎゅっとにぎりこみ、ぐっと力をいれたのか、腕の筋肉が盛りあがった。
「 魚から出た 」
言っておれの手の平にあるそれを睨んだ。
さらにぐっと拳をにぎった手の節が白くなり青い血の筋まで浮かぶ。
「魚?ほんとかよ?」
本当だろう。
こんなことで冗談を言うような男でもない。
「 腹だ!」
その拳をいきなりテーブルに叩きつけた。
「わ、わかったよ。そんな怒ることねえだろ?飲み込んだんだな。じゃあ、海の底にはこんな石がいっぱいあるのかもな」
ランプの方に透かして星を見る。
これが積み重なった海の底。だから海はあんな色なのか?
「・・・フッタ、お前、この陸から出ようと思ってるのか?」
突然の質問に石を落としそうになった。
「 ―― 何だよいきなり」
でも落ち着いたように振舞う。
石を握る俺の手が汗をかく。まさか今この話が始まるなんて。
「出て行ってどうする?狩もできないお前が。飢えてすぐに戻ることになる」
その丸い目がやっとこっちを見た。
「出てみなきゃわかんねえだろ!」
ダン、とさっきのジリみたいにテーブルを叩いた。




