座れ
必要なものと持って行きたいものは違うんだな。
袋の中を確認しながら思う。
なんてつまらない中身。でも仕方ないか。遊びにゆくわけじゃぁない。
ぎゅっと袋の口を閉じると、ばたんごとん、と音がひびき、ジリが戻ってきたのがわかった。
ああそうか。ワッカのところへ誘わなきゃぁいけないんだ。今朝のやり取りが頭をかすめる。
嫌だな
梯子をつたって下に行くとジリは狩の道具を入り口に放ったままで椅子に座り、じっとテーブルの上を睨んでいた。
雰囲気が最悪だよ。機嫌が悪いのか?
「なんだよ、道具はすぐに手入れして仕舞わないといけねえんじゃないのかよ?」
ドアの近くに置かれたその袋をあごで指した。
反応なし。まあ、いつものことだけど。
おれから話しかけると必ず反応するまでに時間がかかる。ジリがおれを怒鳴るところから始まると、会話は成り立たない。
「座れ」
予想外に早い反応に、台所に行こうとした足がつまずきそうになる。
「お、おれ?」
「お前だ。座れ」
それでもジリはなぜかテーブルを睨んだままだった。
おれに腹を立てているのならおれを睨めばいいのに。




