※※※ 不思議な実
わかるか?と聞かれた子供は口をあけて首を振った。
「もうカニの巣には行くなということだ」
「カニ?あそこは、海じゃあないの?」
子供が泣きそうな顔でエンに聞いた。
「海は、もっと南の方向だったな。なんだ?海に行こうと思ったのか?」
こどもは答える代わりに顔をゆがめた。
「わ、待て。さっきみたいな声をだすつもりならやめるんだ。海ならわたしが連れてゆこう。翼がちゃんと乾いたらな。でも、何をするつもりなんだ?あんな所で?」
子供は半端に泣いた顔で震える声を出した。
「願いが叶う不思議な《実》があるって。 ・・・海の真ん中にある木の《実》を食べると。ちゃんと『力』がつくかもしれないって」
「海の真ん中?」
子供が力強くうなずいた。
「真ん中とは、どこだ?」
「あんたたち飛べるなら知ってるんじゃないのか?連れてってくれよ」
「あんたたちではない。わたしはエン。こっちはサザナだ。お前は?」
子供はまた不安げな顔になり、少し間があいてから小さな声で答えた。
「・・・フッタ」
エンがたまらないように笑顔をこぼし、サザナを見やった。
「よい名だ。さあフッタ、とりあえずカエルに会うとしよう」
さっきからフッタがずっと気にしていた家のドアに手をかけた。
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