※※※ 困ってるこども
エンの翼を眺めながら、「すごい白くてきれいだったんだ。上から落ちてきて、サーナにあげようと思ってたのに、袋を落としちゃった」
きいたエンが笑って一回上昇した。
子供は口をあけて見送った。
「わあ・・・きれいだなあ」
「そうだな。エンはすばらしくきれいだ。翼も真っ白で」
首をまわした子供がまだ涙でぬれた顔をゆがめた。
「みんな、白い?」
「翼が?ああ、まあ、だいたい」
「あんただけ、黒?」
「まあ」
うなずいてから少し笑って飛ぶサザナの横にエンが戻って並び、やはり楽しそうにヒトの子の頬を指でつついた。
濃い緑の森とやっと少し緑を出し始めた茶色い森との隙間に赤い屋根の小さな家が見え、翼は羽ばたきをとめ、二人はそのそばに降り立った。
エンはさっさと井戸に行き水を汲み始めた。
「ねえ、さっきの続きだけど、あんただけ黒くて困らない?」
下から見上げた子供の目はもう《痛み》を知っている者の目だ。
「いや、・・・困らない。困ってるのか?」
「・・うん」
ざばりと音がして子供がびくりとした。もうここは水辺ではないのに。




