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だから どうした
見晴台からの階段を飛び降りたら、声だけ後を追ってきた。
「フッタ!『テング』の所には絶対行くなよ!聞こえてるか!」
どこかへでかけようとすると、毎度この命令がくだされる。
うるせえ!と怒鳴り返すかわりに、握ったこぶしで空をなぐる。
これを了承の合図だとおもっているジリは、もう怒鳴らない。
嫌な気分をふりはらうように、『テング』のいるところへと走りだした。
おれは『テング』と仲がいい。
ジリはそれが気にいらない。
だから、どうした?
それについて、奴と話し合う気はまったくない。