食事のさそい
「へえ・・ジリが一人でやるのか?」
仕事はみんなでやるもんだっていつも言ってるくせに。
「うん。腹を割いてたら、みんなもう終わりだから帰れって」
よし、旅の準備をするなら今だ。
また歩き出そうとしたおれの足がまた《止められ》た。
「なんだよ!」
怒鳴ったらワッカは首をすくめてもじもじとした。
「あの、ねえ、今日さあ、久しぶりにうちに飯食べに来てよ。かあちゃんがさ、フッタにしばらく会ってないって」
だって会わないように気をつけているんだ、とはさすがに言えない。
嫌な顔をしているはずのおれにワッカは続けた。
「ジリも連れてきなよ」
「おれが?」
呆れたおれの言葉に、ワッカはぷるぷると小刻みにうなずく。
「フッタたちがケンカばっかしてるの心配してるんだ。二人で顔をだしてくれたら、きっと安心するよ」
大人みたいな言葉に驚いてその顔を見たけど、そこにあるのはいつもの丸い赤ん坊みたいな顔と、少し困ったような青い目。
「・・わかったよ。行きゃあいいんだろ?ジリと行く。 ・・・ようにするよ」
足が途端に動くようになる。
「ほんと?よかった。じゃあ待ってるからさ。必ずだよ!」
ワッカはその丸い体で精一杯の早歩きをしながら背の高い草が茂る方へ去っていく。
「待ってるから!」
黄色い草の間をぬって、時々振り返り手を振った。




