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教えてくれても
「・・・知ってるよ」しかたなく教える。
「え?」
押しのけるように通る。森は終わり、草原に出る。
「 ―― 知ってるよ。そんなこと、だいぶ前からさ」
なんでこんなにいらつくんだろう。
「あ・・。そうなんだ?なーんだ。そっか」
懲りもせずまた追いかけて横に来たワッカが口をとがらせる。
「なんだ。ぼくすっごい大発見でさあ、早くフッタに教えてやろうと思って来たのに。なーんだ。知ってるならさ、教えてくれても良かったのにさあ」
「 はあー 」
おれは立ち止まってわざと大きく息をついた。
「あのなあ、ワッカ」
「そんでその魚はいつもみたいにそこで分けなくて、ジリが干してからだって言うからさあ、今日は手ぶらなんだ」
おれのはなしもきかずに、残念そうに両手を振る。




