いつもの繰り返し
「おい!フッタ!」
「やべえ」 ジリの怒鳴り声で目が覚めたおれは、跳び起きて靴をはくと、そのまま窓にとびついた。
「おい!」
いかついその顔が窓から出たのと同時に、こちらは見晴台にひどい音をたてて着地。
すぐに窓を見上げ、間一髪だったのに余裕の笑みを浮かべてみせる。
「おれ、今日さ、はずせない用があるんだ。」
見る間に奴の顔が赤くなった。
「フッタ!一体いつになったら狩りに出る!?早く覚えないと困るのはお前だぞ!」
「いいよ。狩なんかしないで木の実でも食うからさ」
肉や魚は好きだけど、その方が楽だ。
「そんなんで生きていけるわけないだろう!いいか、みな、自分の」
「みんな、自分の『力』があるからいいよな!」
この攻撃で必ずジリは一回黙る。
「う、『力』がないからこそ、お前は違う方法の狩を覚えなきゃぁならん!」
黙ったジリが怒鳴り返して、ここから先は《いつもの繰り返し》。
「うるせえな! その『違う方法の狩』に連れ出されておれが何度死にかけたか覚えてねえのかよ!あんなのもう、こりごりなんだよ!」
「やらなきゃ覚えられんだろうが!一度ぐらい己で捕った肉を食ってみろ!」
「うるせえ!肉は好きじゃあねえんだよ!」
「だからそんなに育たないんだ!」
奴はまた禁句を言った。でかけりゃえらいのかよ。
「おい!待て!フッタ!」
走り出すのを呼び止めるくせに追って来ないし、止めようとはしない。
――― 止めようとおもえば、止められるくせに