28/217
あの花
ここは、ヒトとテングの中立の場所だ。おれにとってもそうだった。
カエルは誰の敵にもならないし味方にもならない。
―― それはわかっている。
「・・・エンは祝福してくれた」
だからどうした?おれは何言ってんだ。
そうだ、ここは中立の場だ。誰の味方でもないカエルはおれの味方でもないだろう。
「花をくれたよ。おめでとうって。赤い」
カエルには関係ないだろう?
「よろこびの花か?」
カエルの目にすうっと膜が張る。なぜかその反応が一瞬うれしい。だが、言葉は続いた。
「―― たしかにあれは、祝い事に贈る花だが、 ―― 死んだ仲間の墓に飾る花でもある」
文字を読み上げるようにはっきりと響いた声。
カエルを睨み、毛織物を投げつけて飛び出した。




