ただいま
「やはり、まだ子供だな。」
あわてて顔をあげたら、たくさんのヒトとテングに囲まれている。
「な、何だよみんな。ちゃんと『力』を合わせないと」
あせって立って顔を拭う。
「今は少しの『力』で平気だ。運転も切り替えてきた」
おれを子供呼ばわりしたカエルが、ふんと鼻を鳴らし
「だが、よくやったな。ヤシナ。――― もういいぞ。ようやく、これで、お前は戻ってきたんだ」
そうしたら、みんなが口々に「おかえり」なんて言い出して、また視界がぼやけてきた。
「泣けば良いだろう?昔のように」
カエルが低く笑った。フッタはさっき、こいつとあの別れを交わしたんだろう。
「う、うるせえな。言われなくたって」もう泣いていた。フッタは、なんで泣くのをあんなに我慢していたんだろう?
「ヤシナってよく泣いて、よく笑うよね」
ぷくぷくしたワッカの手がおれの手を取る。久しぶりに会った兄弟はやっぱりいい奴で、おれより小さくなっていた。
「だって、せっかくヒトに生まれたんだぜ」
むこうにいるサーナと同じ顔で、ワッカが笑った。おれの家族。
「ずいぶん、ヒトらしくなったからな」
エンが腕を組んでおれを見上げた。ずっとおれを見てきてくれた奴が言うんだ。そうなんだろう。
「そうかな。まあ、おれがおれになったってことだよ」
みんながみつめていて、照れくさい。でも、嫌じゃあない。泣くのを我慢しなくていいって思えたのは、いつからだったかな。
進み出たカエルが、いきなり手を差し出した。
「随分いい場所をつくったな。そして、待っていたぞ。お前が、お前の場所に来るのを」
ついこの前だって会っていたのに、カエルはそう言った。
おれはついさっきまで、ここにいてもいいのかどうか、迷っていたはずなのに、
「・・当たり前だろ?ここしかねえよ。おれの戻ってくる居場所は。すごくいい所でさ・・・」
皆を見回し、これ以上の言葉は必要なく、自信をもってその手を取った。
「ただいま」




