見間違いじゃなかった
「ああ、そうか・・。そうだな」その、ごつくってあったかい手がおれの顔を挟んだ。
「よく、よく、もどって・・・」言葉を止めるように口がぎゅうっと閉じられて、もさりとした髭の中に俺の顔がひっぱりこまれ、そうしたら
「や、ヤシナ?」
ジリは驚いたみたいで、おれだって驚いた。
この年になってこんなでっかい声あげて泣く自分に。
でも、どうにも止められなくて。
話したいことがあまりにありすぎて、聞きたいことが山ほどある。言葉にはまとまらなくて断片が口から溢れる。
「もう、泣くな。ほら、これをやるぞ」
さっきから背中を叩いていたジリの声に、指の隙間からそれを伺う。見えたのは短い指につままれた白い羽。
「おれのだ。お前はワッカにくれてしまって、なかろう?」
おれをのぞくその茶色い目が笑ってた。
幼い時、沼から帰った時、頭突きしてきたときと、同じように。
あれは、『見間違い』じゃあなかった。
フッタに自分で言ったくせに『言いたいことは黙っていても通じる』なんて信じていなかった。なのにおれは今、黙ってジリと話している。




