さけび
「戻れ! ちくしょう!ヤシナは何やってんだ!早く連れ戻しに来いよ!」
壁にくっついたジリの体が、ぶれるように移動した。
「危なくて見てらんねえよ、ちくしょう!戻れよ!ジリ!」
おれを抱えてどうにか船と平行して飛んでいるサザナが、「そろそろ限界だ」とつぶやいた。
そのとき。
「 ふうううったあ! 」
突然ジリが叫びだした。
「な、なんだよ・・・」
「 ふうううったああ! 」
あの、見晴台から落ちた時みたいに。
「 ふううううったあ! 」
「お、おれは、おれはここにいるだろ!」
まだ、見えてるはずだ。
「 ふううううったああ! 」
まるで
「 ふうううったああ! 」
叫んで、戻そうと、するみたいに。
「 ふうううったあああ! 」
何度も、 何度も
「 ふうったああ! ふううったああ! 」
どんどん離れてゆくのに
「 ふううったああ! ふううったああ! 」
もう、顔も見分けがつかなくて
「 ふううったああ! 」
そこにへばりついているのさえ
「お前のことを、呼んでいるぞ」
気付いたらおれを抱えるサザナの腕を力いっぱいつかんでいて
「 ふうううったああ! 」
「最後だ」
言ったサザナが少し船に追いつく。
その姿がおれを待っていて
「お・・・・おやじいっ!」
力いっぱい叫んだ。
「 親父!危ねえんだよ!早く戻れって!せっかく会えたんだ!ヤシナと!おれと! 早く戻れ!おれは! 」そうだよ「 おれは 親父のこと 」すげえ
中から溢れそうな何かで息が続かない
「お、おれ、親父のことすげえソンケーしてるぜ!おれ これから、やるから!ヤシナになるよ!だから、次に会ったら」
「すまん、フッタ、続かん」
すうっと船が先を行く。
「 おれ! 親父の、ジリとキリの子供で良かったよ! 」




