頼んだぜ
「みんな、そろそろ行くぞ」
いきなりヤシナが号令を出すが、その顔は今にも泣きそうで、自分だってすぐに動こうとはしない。横にくっついたワッカが何かを言いたそうにおれを見てる。
「ワッカ」
そんな奴に、言いたかったことがあるのを思い出して勢い良く駆け寄った。
「おれ、お前と《兄弟》でよかった。この先もよろしくな」
肩に顔を寄せて言い、パンと背中を叩いて離れた。
ワッカはもう泣いていなくて、泣きそうなヤシナの方が幼く見える。
「おい、頼んだぜ」
おれはそんなおれの腕を叩く。
「任せろ」
奴は泣きそうなのをこらえた赤い目で俺を見て、そして、おれたちは初めて笑い合った。
周りではサーナやヨクニや何人かのヒトが涙を流していて、テングたちも悲しそうな顔で、「じゃあ、行くよ」何故かおれは一人だけ楽しそうだ。
サザナが前に出る。
「では、わたしがしっかり送り届けよう」
「よし、皆は『力』を合わせて新しい陸を目指すんだ。さあ、行くぞ!」
ヤシナの声に紛れておれたちはそこを後にする。
銀色の硬いドアが閉まる瞬間、こちらを向いて立ち尽くすジリが見えた。




