別れのあいさつを
皆が集まるところへゆくとサーナが走ってきた。
「絶対にうちに来るんだよ」
これからおれが四年戻ったときの事を言ってるんだ。うれしくて、『行かなかっただろ?』とは言わない。
「ヤシナのこと、頼むよ」
あったかいその手を掴んだら、何かを言いかけたのにおれの顔を見てやめた。
ヤシナはなんともいえない顔をしてワッカと並んでる。
ぎゅっと手を掴んだサーナはずかずかとそこに連れて行くと、まとめて三人抱え「あたしの自慢の息子たちだよ」すごい勢いで泣き出した。
ワッカもおれにしがみついてきて、そんなおれたちをヤシナが半分泣いたような顔で見ている。
「しっかりしてくれよ。あんたおれの代わりにこれからサーナとワッカを見なくちゃならないんだぜ」
両側に二人を抱えたおれを、奴がまぶしそうに見て鼻をすすってから「そうだな」と答える。少し笑うと、「おれ、自分のこと少し見直したよ」 意外なことを言っておれの頭をなでた。
「フッタ」
長老が進み出る。
「体に、気をつけるんだぞお」
節くれだった手。ヨクニは信じていたことを通そうと、おれやジリやヒトの為に、やろうとしただけだ。
「ありがとう」
握り返したら、目と鼻から水をあふれさせて下がっていった。正直な年寄りなんだ。
そのヨクニの嗚咽の間からゆらりと出たのは
「ジリ・・」
そのぼさぼさの髪と髭。
目はずっと充血したままで、
「フッタ」
出たのはひどく掠れた声だった。




