あれは おまえだ
まるで自分の家の机につくようにその椅子に座ったカエルは、当たり前のように次々と散らばる出っ張りや突起を押したりまわしたりしてゆき、船はそれに合わせて次々と起きていった。
目覚めの低いうなり声のような音を出す船に乗るのを、ヒトは躊躇した。ヤシナがどう言おうとも足を進めなかったのに、飛べない王とテングが楽しそうに入ってゆくのを見てそろりそろり移動し始め、見ていたおれとカエルで笑ってしまった。
船の舵をとるのはカエルで、ヒトたちの舵取りはヤシナがする。
奴は柔らかく笑い、表現が豊かで、皆に信頼され、自信に溢れている。
「 ―― おれ、自信ねえよ」
その様子が目の前の四角いものの中に現れて、おれは嫌になる。
今の自分からは想像もできない姿。
「あれ、本当におれなのか?あんなふうになれんのかな?」
カエルが笑った。
「お前以外の誰でもないだろう。 あれは、ヤシナは、キリにそっくりだ。フッタ、お前もな。今は納得できずとも、安心しろ。お前はお前だ。惑うことはない。フッタだろうとヤシナであろうともな」
椅子がまわってこちらを向くと断言した。
「 あれはお前だ 」




