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※※ もらいにきた者
「 景色を見せたら連れて行ってくれ」
ジリはもうこちらを見ない。きっと二人で確認したのだ。この子なら大丈夫だと。
「わかった」
わたしは腕に納まった小さな生き物を見てうなずき、外に出た。
むこうの空。
青い中に浮いたそれは、なにか白いものが集まった点だった。点はみる間にばらけ、音もなくどんどんと近付いてくるのから、目が離せない。
白い点がひとつひとつ確認できるほどの大きさになると、その白い翼も確認できた。
羽ばたきの音が近づくと、あっと思う間もなくそれらが頭上を飛び交いはじめる。
見上げればかなりの数。
それらの黒い影に捕らわれたように動けなくなる。
ひとつの大きなはばたきが上をまわる輪からはずれ、激しい音と風をおこしながら、落ちてきた。
それから自分をかばうように上げていた腕を戻すと、まだあたりを舞う羽の向こうで、そいつが言った。
「もらいにきたぞ。赤ん坊を」
それは、時間をとんで『昔』から来た、わたしだった。
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