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空から
あった。 何かが浮いている。
青い中に浮いたそれは、なにか白いものが集まった点だった。点はみる間にばらけ、音もなくどんどんと近付いてくるのから、目が離せない。
白い点がひとつひとつ確認できるほどの大きさになると、その白い翼も確認できた。
羽ばたきの音が近づくと、あっと思う間もなくそれらが頭上を飛び交いはじめる。
見上げればかなりの数。
それらの黒い影に捕らわれたように動けなくなる。
ひとつの大きなはばたきが上をまわる輪からはずれ、激しい音と風をおこしながら、落ちてきた。
自分をかばうように上げていた腕を戻すと、まだあたりを舞う羽の向こうで、そいつが言った。
「もらいにきたぞ。赤ん坊を」
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