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嫌だよ
「そんな!フッタ!」
向こうに降りたワッカが俺に駆け寄る。
「嫌だよ!そんなの!だめ!」
転びそうになりながら必死におれの腕をつかんだ。
ケガをしているほうで痛みが走るが、「ワッカ?」この前おれが陸を出ると伝えた時とあまりに違う反応に驚く。
「だめだよ!だって、そんな時間なんて、僕飛べないよ!陸なら、どこだって、歩いたり走ったりするフッタは追いかけられるけど、それはだめ!追いつけないよ!嫌だ!だめ!」
うあああんと声を発してワッカがおれにしがみついた。
ワッカはおれのこと・・・追いかける、つもりだったんだ・・・。
「泣くなよ、ワッカ」
言ったのはヤシナで、自分こそぼろぼろと泣いている。
「お前こそ大人なんだから泣くなよ」
なんだか先を越されたようなおかしな気分で、でかいおれに言う。
「うるせえな、いいかフッタ、おれは自分のこと大人だなんて思ってねえし、今のお前の代わりに泣いてやってんだよ」
泣き止みそうもないヤシナはおれとワッカの頭を、まとめて太い腕に囲った。




