195/217
騙されたけど
「わたしよりもフッタのほうがひどい傷を負ってしまった。すまない。心配をかけて」
正面のエンは見たこともない顔でおれを見る。
「 みんなで?おれのこと、・・・騙したって?」
その面々を見回して、困ったような顔のエンが目の前に立って、生きておれのことを見ていて。
「・・よかった。・・・でも、 ひでえじゃねえかよ!」
思わず振り回した手にあった赤い花が震えていて、頭に血は昇ってるのに、いつもみたいに怒鳴り続ける気がおきない。
なんだかすごく、がっくりきた。
「そのおかげで今がある」
向こうから動物に囲まれた王の、のんびりした声が響いた。
「騙されたお前がいなかったら、今のこの時はなかっただろう?見ろ」
「おーい!フッタ!」
上からワッカの声。
見上げれば、テングに抱えられて花を持ち、うれしそうな顔。




