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エンの翼
その景色をみあげていたおれのそばにテングがきた。
「よろこびの花だ」
「え、エン!」
あやうく抱きつきそうになり、「だ、大丈夫なのか?翼は?」踏みとどまった。
「平気だ」
そんな訳はない。
そう思って見たその背中に ――
「・・ある・・」
白い翼がしっかりあって、にっこり笑ったエンがそれを少し動かした。
「すまん、フッタ。また謝らないとなんねえな」
ヤシナがエンとおれの間に立った。
「おれも、一枚かんだ」
カエルも寄ってきた。
「あの布の血はおれが捕ったネズミの血だ」
ジリまでもがならぶ。
「エンは予定外で本当に落ちたけど、翼は折れていない。とにかくフッタ、お前を本気にさせる必要があったんだ。逃げないで、本気でヒトとテングの間立ってもらうために。これしか方法を思いつかなかったんだよ。 でも、エンがおれの失敗で羽をやられたのは本当だ。落ちたのをおれが止めて、サザナに渡した。今は本当に飛べない」
すまなそうなヤシナはサザナとエンを見比べた。




