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争い終わり
「これから先も、お前の居る場所はお前が作ってゆかねばならない。 だが忘れるな。お前一人で出来上がる場所などないはずだ。なにしろお前は、一人ではないのだからな」
カエルの細い手が差し出された。
「手を求めよ。そして差し出されたあまたの手に気付け。 おれはこの先もお前の味方だ。勘違いするなよ。おれは確かに中立の立場だが、お前はおれの家に遊びに来る数少ない客人で、おれの友達だ。あの椅子はいつだって、お前しか座らない。―― 新しい場所にゆけ。しばしの別れだ」
おれの手をつかんだ見慣れた無表情な目と合って、顎がつんと痛くなる。
「なんだ。泣きたければ泣け。昔のように泣けばいいだろう」
「うるせえな。泣かねえよ」
いまは、泣かない。
赤い布が翻り、戻って手を挙げると、肩から布をひきおろした。
「以上裁き申しつける。これで《争い》は終わりだ!」
わあ、っとヒトたちが喜びの声をあげると、赤い花を手にしたテング達が現れた。花を渡されたヒトはそのまま持ち上げられて、崖にある炎の前に連れてゆかれ、花をそなえる。




