ここはもうダメ
「 ―― いいか、これからみんなでこの陸を出る」
ヤシナがいきなり宣言した。
そうか。カニが破裂して燃えた、あの荒れようでは暮らせない。
ヒトは黙ってお互いを見合う。
「ここはもうカニで溢れている。いい陸があるんだ」
ヤシナはサザナを振り返った。
「その昔ヒトがいた陸だ。 ヒトたちはそこが《死んで》しまったので捨ててきたと言ったが、ヒトがいなくなり永い時間で浄化されたのか、住みよい陸になっている。この前わたしとヤシナで一通り見てきた」
「あそこなら安心だよ。おれたちがまた無茶しなきゃあな。陸が死ぬこともないだろう。 これからは、狩をするのもヒトの住む場所も、もっと考えていかないとだめだ。 ―― ヒトはもっと他をみないと、生きてはゆけないぜ」
ヤシナの声が硬くなり、皆がその顔を見たら照れたように笑った。
「 ―― でなきゃぁおれたちはまた、間違いを繰り返すことになる。 そんなのはごめんだろ?」
繰り返したらだめだ。
ヤシナが目でおれに合図したような気がする。
「なあ、ここがもうカニで溢れるってことはさ」
聞いたおれに、カエルがふんと鼻をならす。
「そうだな、テングもおれも、もう住むのに適さないということだな」
「え?じゃあ、新しい陸に、みんなで住むの?」
ワッカのうれしそうな顔があがった。




