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※※※ ※※ わたしをみた
「この袋はな、おれと揃いなんだ。むこうに行ったらカエルが預かるからと言っていた。中身は『力の実』の種と、こいつの名だから」
赤ん坊の頬を指でつつき、片袖で顔をぬぐい立ち上がった。
「さあ、ヤシナに、空からの景色を見せてやってくれ」
ジリはその柔らかく軽い脆い生き物をわたしの腕に入れた。
軽くて暖かいそれは、一度目を開けそうになり、まぶしすぎたように閉じた。
思わず見入っていたら、それがいきなり目を開けてこちらを、いや、わたしを見た。
「 今、 ―― わたしを見た」
ジリが笑った。だが本当だ。
「サザナ、・・・数年あとのおまえは、本当にサザナではないみたいだな。なんだかやさしげな顔をする」
「しかたがない。 わたしは、ヒトが好きだ」
ジリが驚いた顔をしてから笑った。
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