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収穫してた実
「そりゃ、言い伝えだ」
呆れたヨクニにヤシナが笑いかけた。
「 半分本当だ。おれの願いは『力』が欲しい、だったしな。 ―― 大昔、《海の真ん中》にあったその実をヒトが食べた。そうしたら『力』がついたって言い伝えだよ。 この陸にやってきたヒトたちがすぐに種をまいて、一本だけ木になって、いまでも実をつけてる。 『争い』の後は、その実を、テングたちが取り、酒にしてカエルが配ることにした。そうして弱く『力』は残った。 おれなんか毎年その実をとってたんだぜ。なあフッタ?」
ただ口をあけているしかできないおれに、あの《仲間がいない木》だよ、とヤシナはなつかしむようにうなずいた。
「でも、・・・『力』は弱まったのに、やっぱりヒトはテングと仲良くなれなかったわけだ。―― で、しばらくしたら、ヒトの中にはジリとキリ、テングにはエンっていう変わり者が出た」




